歯ぎしり
歯ぎしり
睡眠中に歯をすり合わせて音を立てることを「歯ぎしり」と呼び、本人はほとんど気付かず家族等に指摘されて始めて気づく方が多いです。一緒に寝ている人だけでなく、本人もよく眠れなくなってしまうなど悪影響が及ぶ恐れがあります。しかし、歯ぎしりがどのようなメカニズムで発生するのかは、現在まで正確なことはわかっていません。
大多数の人がこのタイプです。日常のストレスが原因で、睡眠中に無意識に歯ぎしりや食いしばりをすることでストレスを解消していると考えられています。歯が摩耗したり歯ぐきに悪影響が出てしまったりするほどの歯ぎしりは、すぐに改善しなければなりません。
様々な習慣も歯ぎしりの原因となります。たとえば、スポーツ選手等で瞬発的に力を出すような職業に就いている人の場合、食いしばりが習慣化してしまっていることがあります。それが睡眠中にも習慣となって現れ、歯ぎしりや食いしばりをしてしまうのです。
上下の嚙み合わせが悪いと歯ぎしりが起こりやすくなります。1本の歯だけ他の歯よりも強く接触している場合には、歯ぎしりしやすくなります。また、顎の変位、詰め物が合っていないなどが原因で歯ぎしりが起きることがあります。
睡眠中の歯ぎしりは子どもにも起こり得ます。ただし子どもの場合、乳歯が抜けて永久歯に生え変わる際の不快感が原因であることが多いです。永久歯に生え変わった後歯ぎしりがなくなれば、とくに問題視する必要はないでしょう。
歯ぎしりは口や歯の健康だけでなく、全身に悪影響を及ぼす恐れがあります。
歯ぎしりによって歯が摩耗したり、欠けたりする恐れがあります。症状がひどくなると、しみるようになったり痛みを感じたりします。痛みの場所が特定できない、痛みの位置が変わる等の場合は、歯ぎしりによって痛みが出ている可能性があります。
顎は左右の関節の部分のみで頭の骨とつながっているため、顎の関節に力が加わると顎の関節にある「関節円板」がずれたり、変形したり等の顎関節症を引き起こします。
それほど強い歯ぎしりでなくても、長時間続けることで顎に大きな負担がかかるので注意が必要です。
歯周炎、歯肉炎といった症状が現れやすくなり、歯並びが悪くなってしまうこともあります。歯ぎしりの力により歯を支えている骨が溶けると、歯が揺れてきます。ひどい場合には、歯が浮いた感じがしたり、上と下の歯があたるだけで痛みを感じたり、歯ぐきが腫れたりします。
歯ぎしりは頭痛や肩こりの原因となり、さらには腕のしびれ、腰痛、倦怠感などを引き起こすことがあります。歯ぎしりはできるだけ早く治療した方がよい症状なのです。
現在ではマウスピースをつけて眠ることで、歯や歯周組織、顎関節へのダメージを軽減するスプリント療法が一般的です。マウスピースを装着して眠ることで上下の歯が直接当たらないようにすることができます。もし歯ぎしりをしてしまったとしても歯の摩耗や欠損を防げます。
歯ぎしりの不快な音もしなくなるので、一緒に寝ている家族にとってもよい治療法です。マウスピースというと装着時の違和感が気になるところですが、慣れてしまえばほとんど違和感なく眠ることができます。
噛み合わせは年齢やむし歯治療の被せ物、歯周病の進行具合などによって一生同じということはなく、一定しているものではありません。以前は歯ぎしりをしていなくても、何らかのきっかけで噛み合わせが変わって、歯ぎしりが起こっていることもあります。歯科医院で嚙み合わせを調整してもらうことで治る場合もあります。
歯ぎしりは、引越しや入学、転職といった環境の変化や大きなストレスが加わったことが原因で起こることがあります。ストレスをコントロールできるように、リラックスする方法を見つけることも大事です。
歯ぎしりを完全になくすことは難しいですが、症状を改善させることは可能です。
気になる方はご相談ください。